【1月23日 AFP】地中海の島国キプロスの美しい丘にある保護施設で、コロナ禍で急増する野良猫の面倒をボランティアらがみている。

 キプロス南西部パフォス(Paphos)近郊にある猫の救助センター「タラキャッツ(Tala Cats)」を営むドーン・フット(Dawn Foote)さん(48)は、置き去りにされた元飼い猫が3割ほど増えたと嘆いた。

 フットさんによると、経済状況が厳しくなる中、キプロスに多い外国人や二地域居住者らの中には家を引き払い、帰国した人々もいる。

 フットさんは島全体で捨て猫が増えていることについて、「悲痛なことです」とAFPに語った。住民が餌代や動物病院の治療費を払う余裕がなくなったことも一因だという。

 キプロス政府は新型コロナウイルス感染者の急増を受け、今月10日から、流行開始以来2度目となるロックダウン(都市封鎖)を全土で実施している。

 キプロスには、人口を圧倒するほど多くの猫がいる。ある動物福祉団体によると、餌をあさる場所として最高だった飲食店の休業が、島の猫たちの悲惨な境遇を悪化させた。

 一方、海外で里親探しをするような取り組みは、ますます難しくなっている。AFPが取材した首都ニコシア近くの犬の保護施設でも同様の問題を抱えていた。

 タラキャッツの敷地には現在、約800匹の猫がうろついている。

 野良猫の数を抑える鍵は、不妊・去勢手術にある。本業以外で行っている獣医師もいるが、苦戦を強いられている。国の不妊・去勢手術補助金は昨年度7万5000ユーロ(約940万円)だったが、それでは足りないと獣医師らはAFPに語った。

 映像は5日撮影。(c)AFP/Duncan Woodside