【1月19日 AFP】新型コロナウイルス禍で、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2021)に向けて現地入りした選手に対する批判が高まる中、ニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)が、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)を「愚か」と非難した。

 例年の3週間遅れとなる来月8日に開幕予定の全豪オープンでは、1000人を超える選手とスタッフがチャーター便で豪メルボルンとアデレード(Adelaide)に分かれて到着した後、ホテルで隔離期間に入っているが、選手たちからは隔離環境に関して不満が漏れている。

 そうした中で、ジョコビッチは選手の要望をまとめたリストを提出したと伝えられているが、大半の地域で感染が抑制されているオーストラリアでは選手らの入国に怒りの声が上がっており、ジョコビッチの要求も批判を招いていた。批判に加わったキリオスは、「ジョコビッチは愚かだ」とツイートしている。

 全豪オープンではオーストラリア入りしたチャーター機で陽性者が確認されたことを受け、少なくとも72人の選手が2週間の完全な外出禁止を命じられている。他の選手たちは厳しく管理された環境下で、1日5時間まで外での練習を許可されている。

 昨年の全豪オープン覇者であるジョコビッチは、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)や大坂なおみ(Naomi Osaka)、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)らスター選手とともにアデレードから入国。同選手らのホテルの部屋はバルコニー付きであるなど、出場選手の大多数が滞在しているメルボルンと比べて施設に恵まれている。

 しかし、ジョコビッチはオーストラリアテニス協会(Tennis Australia)に対して、テニスコートのある個人宅へ選手が移ることや食事を改善することなど、要望をまとめたリストを提出したと伝えられている。

 地元メディアはこれらの要求を一斉に取り上げ、短気で身勝手と批判し、選手が乗るミニバスの中でマスクを着用していないジョコビッチの画像も伝えた。オーストラリアでは、大半のタクシーやライドシェアでマスクの着用が義務付けられている。

 ビクトリア(Victoria)州のダニエル・アンドリュース(Daniel Andrews)州首相は18日、ジョコビッチの要求をはねつけ、「ここでは特別扱いはしない。ウイルスが人間を特別扱いしないのだから、われわれも同じようにする」とコメントしていた。(c)AFP