【1月18日 AFP】新型コロナウイルス対策の厳格なロックダウン(都市封鎖)が14日に導入されたチュニジアの複数の都市で、若者らが暴徒化し、3夜連続で治安部隊と衝突している。首都チュニスの外れにあり労働者が多く住む地区エタダメン(Ettadhamen)では、17日夜も若い男たちが警察に向かって石を投げるなどし、機動隊が催涙ガス弾を発射した。

 当局によると、チュニスをはじめ複数の都市で起きている連夜の騒乱で、これまでに数十人の若者が逮捕された。

 ロックダウンが始まった14日は、ちょうど10年前に当時のジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)大統領の独裁政権が民衆蜂起により倒れた記念日に当たる。だが、エタダメンで政治的なスローガンを叫ぶ者はいない。

「これは抗議デモじゃない。近隣から集まってきた若い連中が、略奪したり楽しんだりしているだけだ」と、地元住民(26)は話した。近くのカフェの店員(28)も、路上で暴れているのは「退屈した若者たち」だと述べた。ただ、この店員は、今回の騒ぎの原因は10年前の「ジャスミン革命」以降のチュニジアの政治家らにあると批判した。

 革命から10年が過ぎた今、国民の多くの間では劣悪な公共サービスや、筋の通らない政治家ばかりの政界への怒りが高まっている。チュニジアの国内総生産(GDP)は2020年に9%減少し、デフレスパイラルに陥る中、若者人口の3分の1は失業状態にある。

 主要産業だった観光業は、2015年にイスラム過激派による襲撃事件が相次いだことで苦境に立たされ、新型コロナ流行にとどめを刺された格好だ。新型コロナ危機と不況を受け、国外脱出を目指すチュニジア人が増えている。(c)AFP/Kaouther LARBI