【1月26日 AFP】スパイシーな「ハッピー」サラダ、大麻の芽を散らしたスープ、大麻の葉の揚げ物──大麻を使った料理の提供を始めたタイの病院のレストランに、好奇心いっぱいの客が詰めかけている。

 タイは2018年、東南アジアで初めて医療用大麻を合法化した。数十億ドル規模の市場で利益を得ようと、大麻オイルの抽出、蒸留、マーケティングの取り組みが進められてきた。

 植物としての大麻は昨年12月、国の麻薬リストから外された。これにより、病院などは許可があれば葉、茎、根を使った食品の提供ができるようになった。

 チャオプラヤアバイブーベ病院(Chao Phya Abhaibhubejhr Hospital)の根拠に基づくタイ伝統医療・植物療法センター(Centre of Evidence-based Thai Traditional and Herbal Medicine)のセンター長、パカークローング・クワンカーオ(Pakakrong Kwankhao)医師は、大麻を食べることは伝統的タイ料理への回帰だと話す。

 パカークローング氏はAFPに対し、「食事に大麻の葉を入れるのは私たちの文化だ」と語り、「大麻が禁止される前は(中略)調味用ハーブとして少量を入れたり、薬草としても使用したりした」と説明した。

 レストランがある同病院のウエルネスセンターは1月上旬、大麻を使ったタイ料理の提供を始めた。

 調理場では、調理人が大麻の葉に衣をつけ、パリッと小麦色に揚げている。その脇では別の調理人が、唐辛子とひき肉が入った鍋に大麻の葉を散らしていた。

 向精神作用があるテトラヒドロカンナビノール(THC)は、新鮮な植物の大麻にはごく微量しか含まれない。しかし、過剰摂取を避けるため、このレストランでは1人あたり5枚までと決めている。

 また、パカークローング氏は、妊娠中の女性や特定の健康問題がある人は大麻入りメニューを避けるよう注意を促している。

 それ以外の好奇心旺盛なグルメ客については、「最近の研究によると、これぐらいの少量で気分や集中力、さらには創造力も向上させることができると分かっている」と話した。

 宝石デザイナーのフランス人男性は、料理について「大麻の葉がやや苦味を加えている」と感想を述べた。料理は「素晴らしかった」と言う。(c)AFP/Jonathan KLEIN