【1月17日 AFP】フィリピンを訪問中の中国の王毅(Wang Yi)外相は16日、中国製新型コロナウイルスワクチン50万回分を寄付すると表明した。フィリピン当局が明らかにした。中国製の新型コロナワクチンをめぐっては、有効性について懸念が広がっている。

 東南アジア各国は、相次いで中国による新型コロナウイルスワクチンの提供を発表している。ミャンマーは30万回分の提供を受けるとしている他、カンボジアも15日、中国が100万回分の新型コロナウイルスワクチンを無償提供すると明らかにした。

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)政権は、新型コロナウイルスワクチンの確保に向けた世界的な競争に出遅れたことで批判を浴びており、人口約1億1000万人に提供するワクチン確保を急いでいる。

 フィリピンは既に、まだ中国当局に承認されていない中国製薬大手シノバック・バイオテック(Sinovac Biotech)が開発した新型コロナワクチン「CoronaVac」を、2500万回分購入することで合意している。

 中国がどの新型コロナワクチンをフィリピンに寄付するのか、先のシノバック製ワクチン購入契約の一部が寄付になるのかなどは明らかになっていない。

 AFPはフィリピンの首都マニラにある中国大使館に問い合わせたが、回答は得られなかった。

 フィリピン外務省によると、王外相は16日にマニラを訪れた際、フィリピン外相にワクチン寄付について話したという。

 ドゥテルテ大統領は、2016年の就任以降、中国との関係を積極的に深めてきた。

 中国製の新型コロナワクチンをめぐっては、有効性について懸念の声が上がっている。「CoronaVac」は、トルコで行われた臨床試験(治験)で91.25%の有効性が確認されたものの、ブラジルで行われた治験での有効性は約50%にとどまった。

 フィリピンの新型コロナウイルスの累計感染者は約50万人、死者は約1万人となっている。(c)AFP