【1月15日 AFP】オンライン百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の創設者ジミー・ウェールズ(Jimmy Wales)氏(54)がAFPのインタビューに応じ、ツイッター(Twitter)、フェイスブック(Facebook)のSNS大手2社は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領への対応を繰り返し誤ったと語った。トランプ氏はSNS上で、自身が敗北した大統領選は不正に仕組まれたなど、根拠のない主張を続けていた。

 6日のトランプ氏支持者らによる米連邦議会議事堂襲撃を受け、2社は、トランプ氏のアカウントを停止した。この騒動は、13日に決議されたトランプ氏の2度目の弾劾訴追につながった。

 ウィキペディアは15日、創設20周年を迎える。その記念に行われたAFPとのインタビューでウェールズ氏は、首都ワシントンで起きた前代未聞の事件の責任の所在は「100パーセント、ドナルド・トランプにある」と語った。

 だが、ウェールズ氏は、ツイッターとフェイスブックは常に、トランプ氏がばらまく「誤情報、偽情報に悪戦苦闘」していたと指摘する。

「ドナルド・トランプに対する彼らの対応は、非常に長期にわたりお粗末だった」とウェールズ氏は述べた。「彼は明らかに偽情報を広めていたし、人々に対して口汚いことも明らかだった」

■「意見投稿」対「事典づくり」

 ウェールズ氏によると、ウィキペディアが、ツイッターやフェイスブックと同じ反発や困難な決断に直面していない理由の一つは、2003年に同サイトを非営利化した同氏の決断だ。

「彼ら(ソーシャルメディア)が持つビジネスモデルは『できるだけ多くの閲覧者、できるだけ多くのページビューが必要』だというものだ」と同氏は言う。

「それは彼らのブランドを傷つけることにもなる。だからそれ(ビジネスモデル)を何とかしなければならないが、一筋縄ではいかないだろう」

 フェイスブックやツイッターは、米国での文化戦争と呼ばれる深刻な分断と、世界的な偽情報の拡散とに密接に関わってきている。

 それとは対照的に、ウィキペディアは初期のインターネット・ユートピアの最後の一例と見なされていると支持者らは言う。

 ウェールズ氏はまた、ウィキペディアは基本的にソーシャルメディアのプラットフォームとは異なるという認識を持っている。

「われわれには百科事典をつくるという非常に明確な使命がある。したがってわれわれの行動はすべて、この基準に照らして判断する」とウェールズ氏は言う。

「(それは)訪問して自分の考えや意見を投稿してみようというソーシャルネットワークとは全く異なる理念なのだ」と同氏。「なぜなら、たくさんの人が実に恐るべき意見を持っているというのが真実だからだ」

  映像は13日撮影。(c)AFP/Callum PATON