【1月15日 AFP】中国出身の元サッカー選手でイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)などでプレーした経歴を持つ孫継海(Jihai Sun、スン・ジハイ)氏は、中国にいる外国人指揮官は金銭だけが目的で、同国が目指しているW杯(World Cup)出場の夢にはほとんど役に立っていないと批判している。

 中国スーパーリーグ(1部)では先日、北京国安(Beijing Guoan)が新指揮官にクロアチア出身のスラベン・ビリッチ(Slaven Bilic)氏を指名した。ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(West Bromwich AlbionWBA)の元監督である同氏は、中国行きの理由の一つは「金銭面」であると認めていた。

 同リーグでは、広州恒大(Guangzhou Evergrande FC)のファビオ・カンナヴァーロ(Fabio Cannavaro)監督と、大連人職業(Dalian Professional FC)のラファエル・ベニテス(Rafael Benitez)監督らに続く新たな外国人指揮官となった。

 2002年から2008年までシティのDFとしてプレーし、現在43歳になる孫氏は今週テレビ局のインタビューで、「外国人指揮官が中国に来る目的は非常に単純である。すなわち給与だ」とすると、「そうでなければ何のために来る? 中国サッカーのレベルを改善することが目的? そうであるなら、これまで彼らは何をしてきた?」と痛烈に批判。その一方で、「自分が監督なら同じことをするだろう。人々は愚かでたくさん金を持っている。当然だろう?」と話した。

 スーパーリーグのクラブは近年、元ブラジル代表MFのオスカル(Oscar dos Santos Emboaba Junior)が6000万ユーロ(約76億円)で上海上港(Shanghai SIPG)に移籍するなど、特に攻撃力に優れた選手に莫大(ばくだい)な資金を費やしていることで知られている。

 中国サッカー協会(CFA)は先日サラリーキャップ制を導入し、こうしたブームは終わりを迎えている。しかし、孫氏は「国内リーグの多くのクラブでは、外国人選手はただ攻撃すればいいだけで守備をしない」とすると、「これはサッカーとは言えないし、進むべき方向性ではない」と指摘。「今はそれで勝てるかもしれないが、中国サッカーはどんどん低下していく」と語った。

 中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で現在サッカー協会の副会長を務めている同氏は、自身がスーパーリーグのクラブ責任者だったらどうするか聞かれると、スカウト活動とユース選手の育成に力を注ぐと答えた。「ユースを育てることは、次の世代に向けて極めて重要な基本的な仕事だ」 (c)AFP