【1月17日 CNS】中国で「天眼」の愛称を持つ直径500メートルの世界最大の電波望遠鏡(FAST)が今夏、世界の研究者に開放される。4月1日から研究の申請を受けつけ、8月1日から観測時間を割り当てる。望遠鏡は基本的に「サイズこそ力」だが、米領プエルトリコにある直径300メートルのアレシボ天文台(Arecibo Observatory)昨年12月に崩壊。今後は、巨大電波望遠鏡として世界で唯一残る「天眼」が、国際宇宙研究の拠点となる。

 天眼は中国科学院国家天文台が約12億元(約192億円)をかけ、貴州省(Guizhou)の山間部に建設。巨大なくぼみの地形を利用し、4450個の反射面を組み合わせ、その大きさはサッカー場30個分に相当する。2016年から試験運用、2020年から正式運用されている。

 137億光年より遠い電波信号を受け取れる「天眼」は、遠く離れた銀河での中性水素の動きや重力波を観察。天体の発する電波(パルサー)や、1000分の1秒ほどの間に起きる電波フラッシュ(高速電磁バースト)の観察などを通じ、ビッグバン発生当初の物理システムの研究を進めている。また、観測データの中から知的生命体からの信号がないかを探す地球外知的生命探査(Search for extraterrestrial intelligence)も行っている。

 宇宙観測において「最大の敵」は、地上から混信してくる干渉電波だ。「天眼」では直近の周囲5キロ圏内、5~10キロ圏内、10~30キロ圏内の3エリアに分け、電波使用が制限されている。特に5キロ圏内では携帯電話、ドローン、デジタルカメラの使用などが禁じられている。「天眼」本体は干渉電波を除去する機能強化工事も実施している。(c)CNS/JCM/AFPBB News