【1月15日 AFP】オーストラリアのメルボルン(Melbourne)で、米国から1万4500キロを旅したとみられるハトが見つかった。ただ、オーストラリアの厳格な検疫規則をかいくぐって入国したことから、ハトは当局の目に留まってしまった。

 地元メディアによると、ケビン・チェリバード(Kevin Chelli-Bird)さんは昨年12月26日、自宅の裏庭で、足輪のついた衰弱したハトを発見。ハトは昨年10月に米国でレースに出場した際に行方不明となったもので、所有者は米アラバマ州在住だと判明した。

 チェリバードさんは13日、地元紙ヘラルド・サン(Herald Sun)に対し、「考えられる唯一の可能性は、レースのコースを外れて海に吹き飛ばされ、船にたどり着いてヒッチハイクしたというものだ」と説明した。

 ハトは米国のジョー・バイデン(Joe Biden)次期副大統領にちなんで「ジョー」と名付けられた。チェリバードさんは「ドナルド・トランプ(Donald Trump)がいやになって、去る決心をしたのではないか」と冗談を飛ばした。

 ハトの壮大な旅は地元メディアで大きく取り上げられたが、このニュースが当局の耳に入ると、ハトはオーストラリアの厳格な入国手続きを回避したことから“お尋ね者”となった。

 農務省報道官は、ハトが「オーストラリアの鳥類と養鶏業界に直接的なバイオセキュリティー(防疫対策)上のリスクをもたらす」と指摘。同省は、ハトが検疫を受けずに米国から持ち込まれたのであれば殺処分する必要があるとの見解を示した。

 メディアの人気者となったジョーだが、だからといって殺処分を免れることはできなさそうだ。オーストラリア当局は以前、米人気俳優のジョニー・デップ(Johnny Depp)さんと当時の妻アンバー・ハード(Amber Heard)さんが無申告で持ち込んだ愛犬を殺処分する構えを表明。デップさんらは愛犬を即出国させることで難を免れたが、ジョーも飼い主が名乗り出ないうちに“高飛び”する必要があるかもしれない。(c)AFP