複雑に機能する時計のムーブメントは、もはや小宇宙といっても過言ではない。スーパースポーツカーにとってエンジンが大切なように、時計選びもエンジン=ムーブメントがキモなのだ!

HYT(エイチ・ワイ・ティ)/フロウ エタニティ
機械式光モジュールは、プッシュボタンリュウズを1回押すと2秒間、押し続けると最低8秒間点灯。組み込まれたマイクロジェネレーター(超小型発電機)から電力を受ける13個のLEDでバゲットカットダイヤモンドをセットしたドームが光輝く。手巻き。ステンレススティール、ケース直径51㎜、30m防水。25本限定。税別2142万円。

発光するダイヤモンドのドームのみならず、流体が移動する管の下や随所に発光 力の高いスーパースミノバを用い、暗所で幻想的な光のショーが展開する。

HYT

機械式ムーブメントでチューブに入った液体を動かし、その移動によって時間を表示するHYTほどワン・アンド・オンリーの独創的な時計を開拓した例はほかにないだろう。それだけではない。新しい「フロウ エタニティ」は、機械式の光モジュールで光を発するのだ。仕組みを簡単いうと、プッシュボタンを押した圧力でマイクロジェネレーターが起動し、LEDの光がダイアルを照らすというもの。流体表示と同様に奇想天外な発想と技術には驚くほかない。「エタニティ」という名称の如く無限をイメージした渦巻状のデザインも斬新の極み。

時計ジャーナリスト・菅原 茂はこう見た!

以前のバーゼルワールドでのこと。マイクロジェネレーターによる発電とLED発光の機構を搭載したモデルのプロトを拝見し、摩訶不思議な技術に魅了されたことを思い出す。今回の実機を見るチャンスはなかったが、ダイヤモンドのドームで一段とショーアップした新作には圧倒的な見応えがあるにちがいないと想像の世界に遊んだ。

ENGINE編集部・前田清輝はこう見た!

機械式時計なのに照明機能を搭載する遊び心はさすがHYT! プッシュボタンで発電機が起動するという専用に開発した仕組みを超小型で実現するばかりか、光り方も自然界の波を模して広がっていくというこだわりよう。機能だけではない、五感を刺激する発想はこれからの機械式時計の世界にトレンドとして広がっていくかも……。

文=菅原 茂/前田清輝(ENGINE編集部) 
(ENGINE 2021年1月号)