【1月15日 Xinhua News】中国の伝奇小説「西遊記」に登場する猪八戒に対して人々が持つ印象は、一般的に食いしん坊で怠け者で、滑稽な様子が笑いを誘う。ところが甘粛省(Gansu)張掖市(Zhangye)にある大仏寺の壁画では様子が一変、真面目で勇敢な姿で三蔵法師の道中の大きな助けとなっている。

  同市甘州区博物館の王康(Wang Kang)副館長によると、大仏寺は屋内で国内最大の涅槃(ねはん)仏が有名で、全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財に相当)に指定されているが、涅槃(ねはん)仏のある大殿に描かれた「西遊記」の壁画も非常に貴重だという。

 壁画は高さ4メートル余り、幅3メートル近くで、三蔵法師一行や妖怪、草木などが繊細な筆づかいで描かれている。そこには勇敢に妖怪と戦い、師のために深い谷に入り水をくみ、倒れそうな大木を懸命に支える猪八戒の姿がある。

「西遊記」の作者は明代の呉承恩(Wu Chengen)だと広く知られているが、実在した唐僧・玄奘(げんじょう)がインドから経典を持ち帰った話をモデルにしている。ある学者は、歴史事実が人々に伝承として広がるとともに、脚色されて幾つかの伝奇物語となり、その中で最も有名になったのが明代の「西遊記」だと指摘する。

 大仏寺壁画の制作年代については、学者の間で元末明初や清代など異なる解釈がある。壁画の制作は小説よりも早く、当時民間に広まっていた玄奘の西天取経の伝説を基にしているとする学者もいれば、大仏の姿勢や壁画の質から清代の作と判断し、内容は小説「西遊記」に由来するとする学者もいる。

 甘粛省には、大仏寺の他にも莫高窟や楡林窟、東千仏洞などに「西遊記」の壁画が残る。これは同省の地理的位置と関係しており、玄奘がインドへ行く際の必経の道だった同省に西天取経の伝承が広く伝わっていたのが要因と思われる。

 王氏は「張掖は古代シルクロードの重要地域であり、西へ向かう僧侶たちが必ず通る場所だった。地元の伝承では、高老荘(西遊記で猪八戒が登場する地名)は張掖にあると考えられており、そのため壁画では猪八戒の真面目で勇敢な一面が描かれたのだろう」と語り、大仏寺の壁画が「西遊記」の地方版の一つではないかとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News