■退任後の弾劾裁判?

 トランプ氏自身も含めて過去3回の弾劾裁判で、退任後に裁判が行われた例はない。また昨年のトランプ氏同様、アンドリュー・ジョンソン(Andrew Johnson)元大統領、ビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領の(前者は1868年、後者は1998~99年)も上院で有罪を免れ、実際に罷免された大統領は過去にいない。

 憲法学者の中には、退任後に上院で弾劾裁判にかけることはできないとの主張もある。だが、上院議員や裁判官については、退任後に下院が訴追し、上院で弾劾裁判が行われた例が複数ある。

 仮に今月20日以降に弾劾裁判が開始された場合、上院の多数派は共和党ではなく民主党となり、シューマー氏が多数党院内総務になる。一方、共和党が上院の支配権を失っても、マコネル氏は同党議員の間で強力な発言力を持ち続けるだろう。マコネル氏は、トランプ氏に有罪票を投じる可能性は除外していない。

 前回の弾劾裁判の際、マコネル氏はミット・ロムニー(Mitt Romney)議員(ユタ州選出)を除く上院共和党をまとめ上げ、トランプ氏への有罪判決を阻止した。

 だが、報道によると、今回、トランプ氏の言動は弾劾に相当するとマコネル氏は考えており、また、共和党からトランプ氏を永久に追放する機会だと捉えているともいう。

 トランプ氏を有罪とするためには上院の3分の2の賛成が必要で、これには共和党から少なくとも17人の議員の造反が必要だ。

 そうした中、民主党のシューマー氏は、上院ではトランプ氏の「重罪や軽犯罪」を裁く投票だけでなく、2024年米大統領選への立候補に関心を示しているトランプ氏に対し、連邦レベルの公職選挙への再出馬を禁じる投票も行うだろうと述べた。この次期大統領選への再出馬は、上院の過半数の賛成票で阻止され得る。(c)AFP/Chris Lefkow