【1月14日 AFP】魚が群れの中で感覚的に動きを同調させる様子からヒントを得て、米ハーバード大学(Harvard University)の科学者らが、自律的な群れを形成できる小型の水中ロボットを開発した。

「ブルーボット(Bluebot)」と呼ばれるこの魚型ロボットは3Dプリンターで作製されており、全長は約10センチ。それぞれ複数のカメラと青色LEDライトを搭載しており、これらを用いて水槽内で、他の魚型ロボットとの位置関係や距離を感知する。

 プロペラを使うのではなく、ひれを振り動かして泳ぐため、標準的な水中ドローンに比べて動作効率と機動性が向上している。

 13日の学術誌「サイエンス・ロボティクス(Science Robotics)」に掲載された今回の研究に関する論文の筆頭執筆者、フロリアン・バーリンジャー(Florian Berlinger)氏は「将来の応用のために有用なのは間違いない。応用例としては、外洋での遭難者の捜索・救助任務が挙げられる」と話す。

■群れの協調行動を模倣

 複数のロボットが水中で協調して動く既存のシステムは、個々のロボットが無線で相互に通信し、GPS(全地球測位システム)の位置情報を送信する仕組みに依存している。

 群れをつくる魚は、先導するリーダーがいなくても、複雑で協調的な行動を示す。今回のシステムは、そういった魚の自然な行動の模倣に近い動きをする。

 ブルーボットは搭載されたカメラの「目」を使って周辺視野内の他のロボットを検知し、自己組織化(自発的に秩序化していくこと)された行動を取る。自己組織化行動としては、LED電球を同時に点滅させる、全体で円形に並ぶ、目的物の周りに集まるなどがある。

 バーリンジャー氏はブルーボットの設計を改善し、動作にLEDを必要としないように、またサンゴ礁などの実験室外の環境で使用できるようにしたいと考えている。(c)AFP