【1月14日 Xinhua News】中国河南省(Henan)偃師市(Yanshi)の二里頭遺跡でこのほど、高い格式を持つ夏王朝時代の墓が見つかり、墓の中から蝉形の玉器が出土した。同遺跡でこれまでに出土した墓の中で最も豊富な副葬品を持つ可能性があるという。

 墓は同遺跡宮殿区の5号基壇の敷地内で見つかった。規模が大きく、最上級の墓に属する。蝉形玉器は墓の中部から出土し、全長4センチ近く。材質については今後の鑑定が待たれる。専門家は玉蝉について、幼虫から成虫へと変態し最後に羽を持つ昆虫が天地の神々との交流に役立つとする古代の信仰との関係を指摘する。

 中国社会科学院考古研究所の副研究員で、二里頭調査隊の隊長を務める趙海濤(Zhao Haitao)氏は今回の墓について、副葬品が露出し始めたばかりだが、堆積はこれまで出土した墓の中で最も厚いことから、同遺跡の中で副葬品が最も多い墓になる可能性があるとの見方を示した。

 墓は格式が高く、保存状態も良いことから、全面的かつ詳細な情報収集と研究を進めるため、現在は全体を考古学実験室に移して調査を進めている。調査隊は考古学者と植物考古学や化学分析、文化財保護などの専門家を何度も招いて検討やサンプル採集を実施。実験室の考古学技師を調査作業に参加させている。

 墓からはこれまで、複数の土器・漆器と蝉形玉器1点が見つかった。埋め土の中に複数のトルコ石のかけらがあったことから、研究者は墓の中にトルコ石を象眼した大型の器物があるのではないかと推測する。

 二里頭遺跡の宮殿区では、これまでも3号基壇の3号墓から、長さ70センチのトルコ石の竜が見つかっている。2千片余りのトルコ石で作られた竜は、初期の竜のイメージを示す文化財の中でも極めて珍しく、中国人の竜のトーテムの最も直接的で正統的な起源とされている。

 趙氏は、二里頭文化が中原王朝文明の先駆けとして以前の時代を引き継ぎ、次の時代を開く重要な役割を担ったことはトルコ石の竜を見ても分かると指摘。今回の墓の調査が進めば、これまで以上に重要な発見があるだろうと期待を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News