■高齢者施設で孤立防いだ「ヒーロー」

 また、感染が広がる中で、多くの人の「ヒーロー」となったロボットも多数出展される。バーチャル会場に登場するのは、コンパニオンや受付係、シェフ、配達用ドローン、医療用アシスタント、さらには、職場や医療施設の消毒といった感染リスクを伴う作業に当たるロボットたちだ。

 ロックダウン(都市封鎖)によって特に高齢者が施設で孤立する問題が深刻化する中、コンパニオン・ロボットの需要はここ数か月で急増した。フランスでは、国内北部ルーベ(Roubaix)に拠点を置く新興企業Cutiiのコンパニオン・ロボット「Cutii」が高齢者施設で人気者になった。

 同社は、ロックダウン中に30台のロボットを高齢者施設に無料で貸し出し、そこで得られた経験やデータをロボット技術の向上やプログラミングに活用した。

 ミスティー・ロボティクス(Misty Robotics)最高経営責任者(CEO)のティム・エンウォール(Tim Enwall)氏は、同社のロボット「ミスティー(Misty)」について、オフィスのような環境では、ミスティーのようなロボットが「受付係」を務め、感染の危険をもたらす対面接触の必要性をなくすことができると説明した。

 一方、LGをはじめ、複数の企業は、新型ウイルスの感染が広がった際に需要がある消毒用ロボットの新製品を発表する。

 LGの自律型ロボットは紫外線を利用して人が触る頻度が高いエリアを消毒するもので、同社は今年、このロボットを米国市場に投入し、ホテルや学校、オフィス、小売店や飲食店、空港や駅向けに販売する。

 全米民生技術協会(CTA)のアナリストによると、接続型の医療用モニタリング機器の米国での昨年の出荷額は、前年比約50%増となる6億3200万ドル(約658億円)で、今年は8億4500万ドル(約880億円)に上るとみられている。

 CESではまた、300人以上のスピーカーによる基調講演も予定されており、個人情報保護や次世代通信規格「5G」対応のインターネットなどの問題をテーマにしたトークセッションも行われる。(c)AFP/Rob Lever / with Glenn Chapman and Julie Jammot in San Francisco