【1月12日 People’s Daily】幅2.9メートルの世界で最も大きく開く積載ドアがある。800立方メートルの貨物スペースは、ボーイング737の貨物専用機に相当する容積だ。貨物の単位重量あたりエネルギー消費量は航空機の8%にすぎない。

 3年余りの努力を経て、2020年12月23日、中国最大の鉄道車両メーカーである中国中車傘下の中車唐山会社(CRRC Tangshan)を筆頭とした国内の有力機関が共同で難関突破に取り組んだ世界初の時速350キロの高速貨物列車は、中国・河北省(Hebei)唐山市(Tangshan)でラインオフした。

 この高速貨物列車の先頭車両はカラチョウザメの骨格に似せたデザインで、銀・白・赤の3色が車体を貫く各車両の両側には、幅2.9メートルの世界で最も大きく開く積載ドアがある。これは高速貨物列車の一般的な旅客高速列車と大きく異なる外観の特徴だ。

 外観以外にも、この高速貨物列車には多くの優れた点がある。

 その1つが輸送能力の高さだ。時速350キロの高速貨物列車はマイナス25度から40度までの温度環境にも対応可能で、最大積載量は110トン、最大積載容積は800立方メートル、積載スペースの最大利用率は85%を誇る。

 また時間効率の高さも強みだ。航空輸送、道路輸送に比べ、貨物列車は環境から受ける影響が小さい。600キロから1500キロの中・長距離の高速貨物サービスのニーズに対応でき、1500キロの距離は5時間以内で到達可能だ。

 列車抵抗も小さい。高速貨物列車の先頭車両はカラチョウザメの骨格に似せたデザインを採用し、先頭車両の長細比を増加させた。風洞実験により、この先頭車両はダイナミックな美しさと同時に、既存の車種と比べ運行抵抗力を大幅に低減させ、航空機のわずか8%の貨物の単位重量あたりエネルギー消費量を達成可能なことが証明されている。

「世界で初めて時速350キロの高速貨物列車の快速輸送が実現され、中国の軌道交通装備の国産自主イノベーションレベルを大きく向上させた」。中車唐山公司の製品研究開発センター高級エンジニアの梁永廷(Liang Yongting)氏は言う。

 紹介によると、高速貨物列車は中国の時速350キロ高速列車プラットフォームをベースとし、多くのレール交通貨物輸送高速化のコア技術を刷新した。初の高速貨物列車の積み降ろし用の大きく開くドア、標準コンテナ系図化製品、モジュール化貨物輸送専用床などの全シリーズ積み降ろし設備を制作した。積み降ろしの作業効率を大幅に上げ、大積載、大容積、スムーズな積み降ろし、貨物の中途管理を実現した。

 高速貨物列車の外装に用いた水性エコ塗料は、エコ、刺激性のないにおい、汚染がないといった特徴を持っている。加えて、この高速貨物列車にはスマート火災警報システムが設置されており、さまざまな防火・難燃新材料、新技術が使用されている。貨物積載エリアは新型の膨張型防火コーティングを採用しており、その耐用期間は10年以上となっている。

 近年、電子商取引産業の急速な発展に伴い、物流輸送のニーズも爆発的に増加している。梁氏によると、時速350キロの高速貨物列車のラインオフは、中国のレール交通装備の国産自主的イノベーションレベルを大きく向上させ、総合輸送ルートの配置をさらに最適化し、現代物流システムの構築を促進するという。(c)People’s Daily/AFPBB News