複雑に機能する時計のムーブメントは、もはや小宇宙といっても過言ではない。スーパースポーツカーにとってエンジンが大切なように、時計選びもエンジン=ムーブメントがキモなのだ!

GIRARD-PERREGAUX(ジラール・ペルゴ)/フリー ブリッジ
ジラール・ペルゴを象徴するブリッジ ファミリーに加わった最新作。シリコンテクノロジーの応用で実現した複雑なテンワは、緩急針を持たないフリースプラング仕様。ヒゲゼンマイの有効長を変化させることなく、テンワ自体の慣性を変化させることで調速する。この機構には振動に強いという大きな利点もある。ステンレススティール、ケース直径44.0㎜、ケース厚12.2㎜、30m防水。税別193万円。

ケースバック側に収められた自動巻き機構。コート・ド・ジュネーブのストライプ装飾が施された地板は、ルテニウムグレーのトリートメントで仕上げられ、現在的な雰囲気を強調する。

GIRARD-PERREGAUX

世界的なCOVID-19のパンデミックによって大型展示会が軒並み中止となった今年。そうした中で開催された「ジュネーブ・ウォッチデイズ」でお披露目されたジラール・ペルゴの新作が「フリー ブリッジ」だ。そのネーミングから分かる通り、このモデルのルーツには伝説のスリー・ブリッジがある。

ダイアル側に配されたトゥールビヨンの輪列を3本のブリッジで受けたその意匠は、ジラール・ペルゴの高精度と審美性の象徴として、今も語り継がれている。新しいフリー ブリッジに盛り込まれたのは、シリコンテクノロジーの応用だ。アソートメント(ガンギ車とアンクル)を軽量なシリコンで成形すると脱進機効率が大きく向上するが、フリー・ブリッジはテンワまでシリコン製。正確な平面形状を成形できる利点を活かした、複雑な形状がいかにも現代的だ。

しかもシリコン製のテンワは、緩急針を持たないフリースプラング仕様。自由振動ヒゲとも呼ばれる通り、等時性(振り子単体が正確な周期で動くこと)も高くなる。スケルトナイズされた香箱が、建築的なデザインに華を添えており、新たに設計されたボックスサファイアクリスタル製の風防も雰囲気にマッチしている。

文=鈴木裕之 写真=近藤正一
(ENGINE 2021年1月号)