【1月12日 AFP】世界各国で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まる中、世界保健機関(WHO)は11日、今年中に集団免疫の状態に達することはないと警鐘を鳴らした。

 ワクチンにより数か月後にようやく通常の生活に戻れるようになるとの期待が世界で高まっているが、WHOの主任科学者、ソーミャ・スワミネイサン(Soumya Swaminathan)氏は、新型ウイルスの拡大を止めるのに十分な量のワクチンを生産し、接種するのには時間がかかるとの見解を示した。

 スワミネイサン氏はスイス・ジュネーブのWHO本部からインターネット上で開かれた記者会見で、「2021年内にはいかなるレベルの集団免疫にも達しない」と明言。ウイルスの流行を抑えるために、対人距離の確保や手洗い、マスク着用などの対策を続ける必要があると強調した。

 スワミネイサン氏はまた、全く新しいウイルスに対する、安全で効果的なワクチンが1年足らずで複数開発されたことについて、想像も及ばない事態に科学者らが対処し「信じられないほどの進歩」を遂げたと称賛。ただし、ワクチン接種の普及には「かなり時間がかかる」とも強調した。「ここでは数百万回規模ではなく、数十億回規模の話をしており、ワクチンの生産量の評価に時間がかかる」とし、人々に「少しだけ我慢して」と呼び掛けた。スワミネイサン氏はまた、ゆくゆくは「ワクチンが届く。ワクチンは全ての国に行き渡る」と述べた。(c)AFP