【1月11日 Xinhua News】日本人監督の竹内亮氏が撮影したドキュメンタリー映画「中国アフターコロナの時代-『逆転勝利の法則』とは」が、中日両国で話題を集めている。中国外交部の華春瑩(Hua Chunying)報道官が称賛し、日本の「ヤフー」のトップページに取り上げられたほか、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボー、Weibo)」のホットワード検索ランキングでも2位となった。江蘇省(Jiangsu)南京市(Nanjing)で暮らす竹内氏に7日、インタビューを行った。

 竹内氏は、華報道官に称賛され、非常に驚き光栄に思っていると告白。新型コロナウイルス感染症が発生してからの1年間、日本や欧米諸国のメディアの多くは中国に偏見を抱いており、中国をより客観的に見てほしいという願いから、このドキュメンタリー作品の企画を思い付いたと述べた。

 「中国アフターコロナの時代-『逆転勝利の法則』とは」は、新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いた後、中国のさまざまな業界に出現した「無人化」や、ライブコマースの台頭、テクノロジー主導で発展した空気清浄器メーカー、従業員1万人が感染せずに売り上げを倍増させた湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の工場などを撮影。中国が生産・操業再開に努め、逆境の中で経済が活性化したありのままの姿を映し出している。

 竹内氏は、中国では感染拡大が抑え込まれただけでなく、経済も力強く回復し始めていると指摘。この事実を日本を含む他の国と共有したいと述べ、その理由について「いかに感染拡大を抑えながら経済を回復させるか」は世界中が頭を悩ませている重要な課題だからと語った。

 さらに、新型コロナによって、世界の人々の実際の往来が途絶え、昨年1年間で西側諸国全体で中国に対する誤解が深刻化したと説明。インターネット上の一部の極端な情報により、さまざまな国の人々の間で誤解や嫌悪感が増幅しており、こうした雰囲気の中では、ドキュメンタリー映画の力がとても重要になると強調した。その上で、事実を客観的かつありのままに記録し、どの国の人が見ても共感できるような真実を伝える作品を撮り、異なる国の人々の色眼鏡を取り除きたかったと語った。

 ドキュメンタリー作品のリアリティーを追求するため、竹内氏は独自の手法を駆使して撮影した。その手法については「私のドキュメンタリーには脚本がなく、いつもその場でどう撮るかを考え、直接撮影する。そうすることで、先入観の影響を大幅に減らせる。私自身がカメラの前に立ち、見たもの、感じたもの、そのときの感情などを、良くも悪くもそのまま残すようにしているので、作品にはトウモロコシから作られたビニール袋を食べる姿も映っている」と語った。

 「多くの日本人にとって中国のイメージは『三国志』にとどまっているが、それは中国の『歴史』であって『現在』ではない。現在の中国には素晴らしい映画や、かわいくてかっこいいアイドル、心を揺さぶるファッション、クールですてきなポピュラー音楽などがあふれている。これらの現代文化が欧米諸国に理解されれば、人々の中国に対するイメージは確実に変わると思う」とも述べ、ドキュメンタリー映画の撮影を通じて、現代中国文化を宣伝する後押しをしていく考えも示した。

 今後の撮影計画と夢について聞かれると、今年は自身が参加した「長江天地大紀行」の撮影からちょうど10年になるので、長江の源流から上海までをたどりながら中国の10年間の変化を紹介したいと述べた。さらに「自分の会社をドキュメンタリー映画界の『ジブリ』にして、国境を越え世界中の人々に愛される作品を作りたい」と笑顔で語った。(c)Xinhua News/AFPBB News