【1月11日 AFP】イングランドFAカップ(FA Cup 2020-21)は10日、3回戦が行われ、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)はカルロス・ビニシウス(Carlos Vinicius)がハットトリックを記録するなど、8部マリーン(Marine AFC)に5-0で勝利。大会史上最大の番狂わせは起きなかった。

 150年の歴史を持つ大会史上最も格差が開いた両チームの対戦では、出場機会に恵まれないトッテナムの選手が輝きを放った。

 普段は総工費10億ポンド(約1400億円)のトッテナム・ホットスパースタジアム(Tottenham Hotspur Stadium)をホームとするジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督の選手たちは、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の指針により相手本拠地では多目的室で着替えなければならなかった。

 新型コロナウイルスの規制によりファンの入場は認められなかったが、3185人収容のロセット・パーク(Rossett Park)の近隣住民は、庭先から試合を観戦した。

 書き入れ時を見逃さなかったマリーンはバーチャルチケットを販売。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によってシーズンが短縮されたチームを支援しようと2万3000人が購入した。

 モウリーニョ監督はイングランド代表の主将ハリー・ケイン(Harry Kane)を遠征に帯同させず、孫興民(Heung-Min Son、ソン・フンミン)とギャレス・ベイル(Gareth Bale)はベンチスタートとなった。

 それでもデレ・アリ(Dele Alli)、トビー・アルデルヴァイレルト(Toby Alderweireld)、ルーカス・モウラ(Lucas Rodrigues Moura da Silva)といった強力なトッテナムの布陣の中、ケインの代役を務めたビニシウスがアピールに成功。チームは4つのタイトル獲得の可能性を残し過密日程となるため、今後は出場機会を増やすものとみられている。

 序盤にマリーンはニール・ケンニ(Neil Kengni)が放ったロングシュートがクロスバーを直撃し、跳ね返ったボールをトッテナムのGKジョー・ハート(Joe Hart)が外にかき出したため、まさかの先制点のチャンスを逃した。

 その後ビニシウスがゴール前のシンプルなフィニッシュで立て続けに得点したトッテナムは、ルーカスがFKを沈めて3-0とした。そしてポルトガル1部リーグのベンフィカ(Benfica)からローン加入中のビニシウスは37分、ペナルティーエリア内の繊細なタッチからファーサイドにループシュートを決め、ハットトリックを記録した。

 モウリーニョ監督は後半からアルフィー・ディバイン(Alfie Devine)を投入。するとクラブ史上最年少でトップチーム出場を果たした16歳は、5点目をマークして鮮烈なデビューを飾った。(c)AFP