【1月10日 AFP】性的暴行で告訴されていたフランスの元フィギュアスケート指導者ジル・ベイヤー(Gilles Beyer)氏に対する法的手続きが始まったことについて、最初に被害を訴え出たサラ・アビトボル(Sarah Abitbol)さんが「ホッとした」と話した。

 ベイヤー氏に関しては8日、6人の現役・元選手からの告訴を受け、予審開始が決まった。これについてアビトボルさんは9日、仏週刊誌ロプス(L'Obs)に「ジル・ベイヤーがようやく裁判所へ呼び出されることにホッとした」と話した。

 世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships)の元メダリストであるアビトボルさんが著書で告発したのを発端に、ベイヤー氏は昨年仏フィギュアスケート界を揺るがせたスキャンダルの中心人物となっている。

 アビトボルさんは著書の中で、15歳から17歳だった1990年初頭に当時コーチだったベイヤー氏から性的暴行を繰り返し受けたと告白。この本がきっかけで、他にも数人のスケーターが被害を名乗り出た。

 ベイヤー氏は6日午前に身柄を拘束されたが、権力を持つ者による「性的暴行」と「セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)」の容疑で予審開始が決まった8日に保釈された。

 また関係者によると、被害当時に成年に達していた女性6人を含む最近のケースだけが、責任を問うことが可能で、うち3人がベイヤー氏の性的暴行を訴えているが、アビトボルさんが受けたものを含めたいくつかの被害に関しては、時間がたちすぎているため、現在の法律では処理できなかったという。

「私はレイプされた」と言うアビトボルさんは、それによって「暴行」や「ハラスメント」に容疑が軽くなったことを嘆き、「残念なことに、その事実は時効になっている。他にもう一人、あの男にレイプされたと警察に証言した選手を知っているけれど、そちらも時効になった」と話した。

「私たちが被害者として認められないのは、正義の観点から言って不公平だと思う。もっと多くの被害者が名乗り出ることを願っている」 (c)AFP