「密猟者の楽園」 パキスタンのハヤブサがアラブの富豪に渡る現実
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【1月19日 AFP】10代の頃に鳥の捕り方を覚えてから、ムハマド・ラフィク(Muhammad Rafiq)さん(32)はパキスタンでハヤブサを捕獲して密売することで一財産を築いた。一部の絶滅危惧種を含むハヤブサは、裕福な湾岸アラブ諸国向けに密輸される。
闇市場ではハヤブサ1羽が最高数万ドル(数百万円)で売れる可能性がある。これで得た金銭でラフィクさんは家を改築することができた。
「毎シーズン、カラチ(Karachi)から売人たちが来て自分の連絡先を置いていく。何かを捕まえたら彼らに電話をする」と、近隣の沿岸部の村出身のラフィクさんは話した。
長年、パキスタンはこうしたハヤブサの取引とつながりがあり、猛禽(もうきん)類の供給源としてだけでなく、ハヤブサを使って狩りを行う場所としても関わっている。
世界自然保護基金(WWF)のパキスタン支部によると、ハヤブサを捕らえることは禁止されているが、需要は増加傾向にあるという。
2020年だけでも、最大で700羽のハヤブサがパキスタンから密輸出されたとWWF支部は推計している。多くは組織犯罪ネットワークが関わっているという。
密輸先は通常、湾岸諸国だ。この地域ではタカ狩りが大切に守られている伝統の一つとなっている。
飼い主はハヤブサを「まるで自分の子どものように」扱うと、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにあるハヤブサ専門病院のマルギット・ミュラー(Margit Muller)院長は話した。同病院で治療するハヤブサは年間1万1000羽に上り、この数字は過去10年で倍以上になっている。
ある自然保護活動家がAFPに語ったところによると、アラブの鷹匠(たかじょう)は通常、1人で約500~600羽を飼うが、その大半がパキスタンやモンゴルの山野で捕獲されるという。