■「バーチャルアイドルには魂がある」

 留歌を生み出した北京蜜枝科技(Beijing Mizhi Tech)の最高経営責任者(CEO)、劉勇(Liu Yong)氏はAFPに、「私たちの考えでは、どのバーチャルアイドルにも本物の魂があるのだ」と語る。「彼らには独自の性格や個性、嗜好(しこう)がある。こちらの世界にリアルに存在しているのだ」

 北京を拠点とする市場調査会社Newsijieによると、留歌を含むバーチャルアイドル業界は、今後2年間で15億元(約238億円)規模に成長することが見込まれている。動画サイト「ビリビリ(bilibili)」によると、バーチャルアイドルのライブ配信チャンネルの視聴時間は、昨年1〜10月で200%増となった。

 一方、バーチャルアイドル業界で参入企業が乱立すると、質の低下を招くのではないかと懸念する専門家もいる。

 中国で最も成功したバーチャルアイドルの一人を制作した上海禾念信息科技(Shanghai Henian Information Technology)のカオ・プ(Cao Pu)氏は、「本気で(業界に)参入したければ、資金と技術、根気が必要だ」と指摘する。

 バーチャルアイドルを生かすも殺すも技術力次第だ。そのため、技術的なトラブルから致命的なミスにつながりやすい。

 あるときは、ステージに留歌の帽子しか映っていないことがあった。他にも、技術的なトラブルでバーチャルアイドルの映像が崩れ、審査員にカンフーを教えようとしたバーチャルアイドルがフリーズした例もある。

 視聴者の一人はソーシャルメディアで、「見ているのがいたたまれないレベル」と酷評した。

 だが、番組制作者らはこうした批判をはね返している。

「私たちの番組に最初から付いてきてくれた多くの視聴者なら、技術が大幅に改良されたことが分かるだろう」とプロデューサーのリウ・ジアチャオ(Liu Jiachao)氏は言う。「新しいものには論争が付き物だ」

 映像は2020年12月に取材したもの、一部提供。 (c)AFP/Helen ROXBURGH with Danni ZHU