【1月5日 People’s Daily】買い物の際に「顔認証」で決済、列車に乗る際に「顔認証」で改札通過、スマート端末の使用の際に「顔認証」でロック解除など、今現在の中国では、顔認識の応用シーンが日増しに増えてきた。技術の進歩に伴い、顔認識は民生サービス、都市管理、安全保障などの分野に深く溶け込んでいる。例えば、「顔認証政務」が広く使われ、事務時間が短縮された。一部の地域では、監視カメラによる「顔認証」で交通違法行為を識別している。また、顔認識を利用し、空港やデパートなどの人の密集している場所の監視も行われている。新型コロナ肺炎の感染防止・抑え込みの際には、「顔認識+検温」設備が広く活用され、検温の効率を大幅に高めた。また、顔認識に基づく人工知能関連産業が急速に発展し、イノベーション・ベンチャーの突破口となっている。統計によると、現在、中国には1万社以上の顔認識関連企業があり、2020年の第3四半期の登録数は1161社に達した。その市場規模は2024年までに100億元(約1500億円)を突破する見込みだ。

 一方、一部のユーザーは、顔認識技術に情報漏えい・悪用の傾向を懸念している。人の顔などの生物的特徴がある情報の特殊性から、顔認識技術の普及には、過度な使用、統一の標準規則の欠如、データ保存のセキュリティーなどの問題が伴う。これまで、中国消費者協会が発表したアプリの個人情報収集とプライバシー政策に関する評価報告書によると、評価された100種類のアプリのうち、10種類は個人情報の過度な収集の疑いがあるとされている。実際に存在する問題の数々に対処するには、膨大な顔データの保存、共有、応用などに、さらに慎重な対応が求められる。

 規則を健全化する努力と、混乱した状況を整頓するための行動は以前からも続けられている。2019年末、顔認識技術の国家標準化への取り組みが全面的に開始された。ここ数年来、中国は絶えず個人情報保護に注力し、中国インターネット安全法、中国電子商取引法、中国民法典などの法律の中で、すべて個人情報保護のための明確な規定を策定している。現在、中国個人情報保護法草案は公開意見募集の上、個人の生物的特徴を敏感な個人情報として、「告知—同意」を肝とする個人情報処理の一連の規則を確立しようとしている。それに、各地も積極的な試みを進めている。例えば、「杭州市不動産管理条例(改正案)」において、公共設備の使用に当たり、個人を識別可能な生体情報を取得することができる顔認証や指紋認証などを強制してはならないと定められた。多角的に取り組み、精密に管理し、適時に悪用の抜け穴をふさぐことで、効果的にセキュリティーリスクを回避し、顔認識技術でさらに幸福な社会を実現できるだろう。

 現在、デジタル経済は勢いよく発展しており、人工知能の応用シーンのイノベーションは日進月歩で変化している。顔認識技術のための信頼できる防御線を構築し、新技術、新応用をより安全に普及させていくことではじめて、人々は安心して技術による果実を得ることができるのだ。(c)People’s Daily/AFPBB News