【1月5日 People’s Daily】中国・浙江省(Zhejiang)長潭ダムの上流にある沙灘村(Shatan)は、数百年の歴史を持つ古村落。ところが、数年前には、この村では別の場所に新しい集落が建てられたため、もともとあった下町や古民家は老朽化が進み、荒涼たる光景だった。しかし、今では、村は清雅さと穏やかさを持つ、伝統の味わいある場となった。石畳の道、長樹齢のクスノキ、歴史ある演劇舞台などの要素により、「ネット人気村」として華麗に転身した。

 沙灘村の人気の急上昇は、下町の穀物倉庫を改築した魅力ある民宿が観光客を魅了したことと関係があるだろう。

 下町の「糧宿」という名の民宿の人気はどれほどなのか。下町の村民によれば、「週末と祝日は、一か月前には予約しないと、ほとんど予約できない」という。

 糧宿はなぜこれほど人気があるのか。宿泊客ははっきりと答えた。古い穀物倉庫を改築した民宿は、独特の趣があり、住み心地も快適。それに、一見普通の民宿には多くのテクノロジーが隠されている。糧宿の従業員によれば、穀物倉庫を改築した民宿は典型的な多機能・エコロジー省エネ建築である。壁にはハイテク・エコロジー防水塗料を用いて、湿気を帯びやすいという古い建物の問題を効果的に解決した。内部の壁には高性能断熱材を使用しているため、夏は基本的にエアコンを使わない。庭も水はけがよく芝生と生態景観を備えている。屋上に敷設されている雨水収集利用システムは、雨水を浄化して利用する。

 2013年に、黄岩区(Huangyan)は同済大学(Tongji University)の建築・都市計画学院の楊貴慶(Yang Guiqing)教授のチームを招へいし、美しい農村計画教育実践基地を設立し、沙灘村の再計画・建設を進めた。沙灘村の改築は既存の建物を有効に活用し、廃棄された動物診療所、穀物倉庫、村役場などの建物を観光案内所、民宿、茶亭、酒屋に改造した。古くなった建物を修復することで、村民にここで暮らしているという帰属意識を再認識させると同時に、多くの観光客にもある種のノスタルジーを感じてもらえるようにした。

 沙灘村の下町を歩くと、通りの両側には小さなレストランやバー、図書室、町内観劇広場がずらりと並んでいるが、違和感は全くない。農村の屋外会議場は多くの言語の同時通訳も用意している。このような細やかな対応は、沙灘村が絶えず積極的に探索を続けていることの表れだ。

 今は沙灘村に来る観光客が増え、村の人気が高まったため、村民の収入も自然に高くなってきている。一人当たり年収が10万元(約150万円)を超え、沙灘村の村民の未来への期待はより高まっている。古村落の外部環境が改善され、各地から観光客が押し寄せる中、黄岩区は以前とは異なる農村振興策の計画を始めた。それは、科学研究、教育研修と文化、生態などの融合を通じ、農村の未来の発展地図を描くことだ。(c)People’s Daily/AFPBB News