※本文の作者は天津国立スーパーコンピューティングセンター応用研究開発部部長。

【1月5日 People’s Daily】中国初のスーパーコンピューターで世界一となった「天河1号」は、すでに中国の科学技術のイノベーションを支える存在である。その成績を見るたび、私は自分が最初にした選択に対してこの上ない喜びを感じる。

 11年前、私は設立されたばかりの天津国立スーパーコンピューティングセンターに加わった。始めた頃、私たちのチームは6、7人が2部屋のアパートに押し込められており、食事も居住も仕事も、全てそこで行っていた。

 スーパーコンピューター「天河1号」システムの配置や研究開発試験の初期段階では、私たちは昼間にエンジン室の改造をし、ケーブルや棚を備え付けた。夜も当直する必要があり、研究開発は昼夜を問わず行われた。当時は夏でも部屋にまだエアコンがなく、蚊が絶えず私たちを悩ませた。皆疲れて眠気と闘い、段ボールを床に敷いて横になっていた。このような大変な条件で、私たちはわずか7か月で機械の装備と配置を終えたのだった。

 必死に働いた原動力は、責任感と使命感、イノベーションとブレークスルーに対する情熱である。初めての国立スーパーコンピューティングセンターを設立するにあたって、私たちが内心感じていた意気込みは言葉にはできない。

 応用研究開発部の責任者になった後、私とチームは、核融合エネルギーや石油ガス探査などに関わるソフトやプラットフォームの研究開発を相次いで担当した。現在、「天河1号」は毎日8000あまりの科学研究における演算処理業務を担っている。

 このような専門的な科学研究任務以外にも、「天河」は私たちの生産生活でも重要な作用を発揮している。

 企業にとっては、「天河」のバーチャルシミュレーションを通じてコストの削減や効率の向上を実現できる。例えば、自動車やその設備の研究開発をする会社なら、本来なら実物の車を使って何度も衝突試験をしなくてはならない。これらの実験に使う実車は単独生産されたもので大量生産品とは違い、時間もコストもかかる。「天河1号」のバーチャルシミュレーションプラットフォームの力を借り、車のデータで物理的衝突のシミュレーションを行うことで、大幅に生産品の開発期間を縮め、企業の研究開発費用を節約することができる。

 個人からすれば、私たちの生活に最も近いスーパーコンピューターの利用法は天気予報だろう。私たちがテレビやアプリで見る天気予報は、どれも背後にスーパーコンピューターの助けがある。「天河1号」は、夏には降水量や極端な天候に目を光らせ、冬には風や雪を予測する。衛星や気象観測ステーションがデータを取れば、「天河1号」は未来の天気の変化を算出できるのだ。

 イノベーションはとどまるところを知らない。将来、「天河」は中国独自の技術イノベーションや経済社会の発展を強力に支えることになるだろう。(c)People’s Daily/AFPBB News