【1月23日 AFP】破滅的な地球温暖化に対する無為無策にいら立つ市民らが、気候変動の加害者と被害者との間にある不公平さの是正を求める「気候正義(Climate justice)」を掲げ、各国政府や大規模汚染をもたらす当事者を法廷に引きずり出している。

 こうした裁判では、人権、とりわけ生存権がますます問われている。

 米コロンビア大学(Columbia University)サビン気候変動法センター(Sabin Center for Climate Change Law)の集計では、訴訟件数は世界で1700件以上に上り、うち1300件以上は米国内でのものとなっている。

「この5年で劇的に増加している」と同センターのマイケル・バーガー事務局長はAFPに述べた。

 英グランサム気候変動環境研究所(Grantham Research Institute on Climate Change)によると、開発途上国における提訴は40件前後で、その数は増えている。

■もろ刃の剣

 法廷の判断が環境を守ろうとする側に有利に働くとは限らない。

「訴訟は最後の手段」とバーガー氏。「勝ちも負けもある」

 米国では2015年、 公共資源を気候変動から守るよう子どもたちが政府を訴えたが、オレゴン州の上訴裁判所は昨年1月にこれを退けている。

「今のところ、裁判がポジティブな結果で終わることは非常にまれ」と仏パリ第1大学(パンテオン・ソルボンヌ大学、Pantheon-Sorbonne University)の研究員、マルタ・トーレ・シャウブ(Marta Torre-Schaub)氏はAFPに語った。だが「訴訟のリスク」を懸念する政府や企業はこうした問題に真剣に取り組んでいるとも言う。

■国の怠慢

 オランダの最高裁判所は2019年、同国政府に対し2020年末までに温室効果ガスの排出量を1990年比で最低25%削減するよう命じた。

 フランスでも、「気候に対する怠慢」への政府の説明を求める動きがある。市民200万人以上がこれに賛同している。