【1月4日 AFP】女性の就労を456職種で禁止してきたロシアの労働規制が昨年改定されたことを受けて、モスクワ地下鉄(Moscow Metro)は3日、「近代史上初となる女性の電車運転士」を採用したと発表した。

 旧ソビエト連邦時代に共産主義国の威信を示す目的で敷設されたモスクワ地下鉄では、運行業務を担うのはこれまで専ら男性だった。地下鉄の運転士は地下で長時間過ごすため、危険で女性の健康に有害な職種だとして、政府の女性就労制限の対象になっていたからだ。

 だが、モスクワ地下鉄は清掃員や窓口係員、エスカレーター監視員には女性を雇用しており、地下で長時間過ごすため危険だとの理由で女性運転士の就労禁止を正当化することに批判が広がっていた。

 昨年9月、ロシア労働社会保障省は女性の就労を制限する規定を見直し、男性に限定する職種を456職種から約100職種に削減した。2000年改定のこれまでの規定では、地下鉄運転士のほか、鉱業、金属加工、自動車整備士、落下傘兵、船員、バス運転手、管楽器製造などでも女性の就労が禁止されていた。

 モスクワ交通局は、自動化・機械化が進んだことで地下鉄の運転はもはや「重労働ではなくなった」との見解を示した。

 国営ロシア鉄道(Russian Railways)も、年内に女性運転士の採用を始める方針を明らかにしている。(c)AFP