【1月3日 AFP】英国定番料理「バンガーズ・アンド・マッシュ」やビール、英国人対英国以外の欧州出身者による綱引き大会、BGMは「Don't Leave Me This Way(こんなふうに置き去りにしないで)」や「We'll Meet Again(また会いましょう)」━━。スペイン在住の英国人が、欧州連合(EU)に英国流に別れを告げるパーティーを開催した。

 英国のEU離脱に不満を持つ人は多く、居住や行政手続きなどの問題に直面する人もいる。しかし、スペイン南部の村ヒメラデリバル(Jimera de Libar)にあるバーでは、この不運を最大限に利用することにした英国人らがパーティーに集まった。

 皮肉まじりのパーティーには、フィッシュ・アンド・チップスやビーンズ・オン・トーストなどの英国人が大好きな料理がずらりと並んだ。

「私たちの大部分はすべてに満足しているわけではないが、一応(EU離脱を)祝った方がいいかなと思い、楽しんでいる」と話すのは、このバーを経営する英国人のポール・ ダーウェント(Paul Darwent)さん(65)だ。

 20年以上スペインで暮らすダーウェントさんは、「実際には、私たち全員にたくさんの問題をもたらすだろう」と述べた。

 スペインにはEU加盟国で最多となる英国人約37万人が届け出て住んでいる。届け出をせずに住んでいる英国人も数千人いると考えられている。

 新型コロナウイルスの感染防止措置により、パーティーはバーのテラスで開かれた。会場には英国とスペイン、EUのそれぞれの旗が飾られ、バーと化粧室の入り口はEU加盟国の市民用と非加盟国の市民用に分かれていた。

 パーティーでは、コミュナーズ(Communards)の「Don't Leave Me This Way」とヴェラ・リン(Vera Lynn)の「We'll Meet Again」が生演奏された。

 ハイライトは英国人男性4人と、デンマーク、フランス、オランダ、スペイン出身の男性4人による綱引きだ。英国チームが地面に倒れ込み、EUチームが勝利すると、拍手と歓声が起きた。

 スコットランド出身で20年近くスペインに暮らす教師のイレーン・ギルフィレン(Elaine Gilfillan)さんは、「一緒であるべきだった。私たちは一つの大陸だ。英国人はこの結果に苦しむことになると思う。誰にとっても好ましくない」と話した。(c)AFP/Daniel SILVA