【1月2日 AFP】国際原子力機関(IAEA)は1日、イランから濃縮度が最大20%のウランを生産する意向を伝達されたと発表した。この数値は、2015年にオーストリアのウィーンで成立した核合意の上限を大幅に上回る。

 IAEAの報道官はAFPに対し、イランは昨年12月31日付の書簡で、「先日国会で可決された法律に従い、フォルドゥ(Fordow)の地下にあるウラン濃縮施設で濃縮度が最大20%のウランを生産する」と通知してきたと述べた。ただし、開始時期については明記されていなかったという。

 イラン政府は米国の制裁に反発し、核合意で定められたウランの濃縮制限を徐々に超えてきた。ウィーンを拠点に活動しているある外交官はAFPに、今回の発表は「新たな打撃」だと語った。

 IAEAが昨年11月に発表した最新の報告書によると、イランはウィーンの核合意で定められた濃縮度の制限値(3.67%)を超えてウランを濃縮していたが、4.5%を超えることはなく、IAEAの厳重な査察も受け入れてきた。

 しかし、昨年11月下旬に同国の著名な核科学者モフセン・ファクリザデ(Mohsen Fakhrizadeh)氏が暗殺されて以来、不穏な空気が漂っている。

 イラン政府の強硬派は、暗殺はイスラエルによるものだと非難し、しかるべき対応を取ると表明。イラン国会は、「濃縮度20%のウランを年間に少なくとも120キロ」製造し、イランが核兵器を開発していないことを確認するためIAEAが実施してきた査察を「終わらせる」とする法案を可決していた。(c)AFP