【1月1日 AFP】キューバは12月31日、経済改革の一環として、今年から教師、ジャーナリスト、ライオン使い、初期臨床研修医の賃金を同額にすると発表した。

 この改革によって、最低賃金が従来の5倍となる月給87ドル(約9000円)相当に引き上げられ、物価は大幅に上がる。また、一般市民が使う通貨ペソと、外国人向けとされる兌換(だかん)ペソが流通する26年間続いてきた二重通貨制を終わり、両通貨が統合される。

 12月31日に官報に掲載された労働・社会保障省の77ページにわたる文書によると、新しい賃金制度では職種に応じて32段階の賃金が設けられる。最高段階の賃金は月給396ドル(約4万1000円)相当。

 ミゲル・ディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領や、ラウル・カストロ(Raul Castro)共産党第1書記、軍人や内務省職員の賃金は明らかにされていないが、県知事の賃金は、コンピューターエンジニアの2倍近い月給375ドル(約3万9000円)相当となる。

 キューバが誇る医療系の職種では、初期臨床研修医の賃金が月給210ドル(約2万2000円)相当となる。これは教師、ジャーナリスト、サーカスの動物使いと同額だ。スポーツの分野では、五輪の金メダリストが月給232ドル(約2万4000円)相当となっている。

 キューバのエコノミスト、ペドロ・モンレアル(Pedro Monreal)氏によると、約300万人いる公務員のおよそ半数の賃金は、キューバの平均月給159ドル(約1万6000円)相当を大きく下回ることになる。

 改革では、1994年に導入された米ドルと等価に固定された兌換ペソを今後6か月かけて廃止し、通常のペソのみを残す。ペソの価値は兌換ペソの約24分の1。

 改革には、キューバ経済を効率化するとともに、外国人投資家にとって理解しやすくする狙いがある。(c)AFP