【1月1日 AFP】英領ジブラルタル(Gibraltar)と英国、スペインの各政府は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後もジブラルタルを出入国審査のないシェンゲン(Schengen)圏に残留させることで合意した。スペインのアランチャ・ゴンサレス・ラヤ(Arancha Gonzalez Laya)外相が12月31日、発表した。英国がEUの関税同盟と単一市場を離れる「完全離脱」を同日深夜に控えた土壇場の合意となった。

 英国は24日、離脱後の貿易協定でEU側と合意に至ったが、ジブラルタルの扱いに関しては決着していなかった。スペイン、英国、ジブラルタルの代表団は、ジブラルタルとEUの間に厳格な国境管理を伴う「ハードボーダー」が設けられ、双方の住民の往来や事業に大混乱が生じることを防ぐべく、夜を徹して交渉を続けていた。

 ジブラルタルはスペイン南端に接する小さな領土で、スペインは長年にわたり領有権を主張してきた。英国のEU離脱をめぐる2016年の国民投票では全体の52%が離脱に賛成したが、ジブラルタル住民は96%近くが反対に投票。その背景には、国境管理の厳格化を避けたいという地元の意向があった。

 シェンゲン圏にはEU加盟国の大半が含まれ、圏内では旅券(パスポート)なしでの自由な移動が許可されている。(c)AFP/Hazel WARD