【12月31日 AFP】トルコは30日、中国との新たな犯罪人引き渡し条約によって大勢のトルコ在住ウイグル人が中国に送還されることになるとの懸念を払拭(ふっしょく)した。

 中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会が26日、2017年に署名された同条約を批准。これを受けて、イスタンブールの中国領事館前ではトルコ国籍を持つウイグル人約20人がピケを張って抗議した。

 トルコ側はまだ同条約を批准していないが、中国側が批准したことによって推計5万人の在トルコウイグル人の間で不安が高まっている。

 メブリュト・チャブシオール(Mevlut Cavusoglu)外相は、議会がいつ同条約を審議するかについては言及しなかったが、条約締結が中国へのウイグル人引き渡しを意味するものではないと発言。「これまでにもトルコ在住ウイグル人に関し、中国から引き渡しの要請はあった。だが、トルコがそうした措置を取っていないことは周知の通りだ」

 さらに、「ウイグル人を引き渡すための条約だという言い方は誤っているし、不当だ。わが国は他国よりもそうした問題に敏感だ」と述べた。

 ウイグル人は、トルコ語と同じチュルク諸語のウイグル語を話し、トルコとの文化的結びつきもある。そのため中国北西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での迫害から逃れようとするウイグル人に人気の避難先となっている。

 しかし報道では、トルコ政府は第三国を経由してひそかにウイグル人を中国に送還しているとして非難されている。

 犯罪人引き渡し条約への恐怖を訴える在トルコウイグル人の集会は30日で9日目となった。わが子が中国で拘束されているというトルコ国籍のウイグル人、オメル・ファラー(Omer Farah)さんは、「神よ、どうか私たちの国がこんなものを批准しませんように」と語った。「そんなことになったら、私たちは心配でたまらない。中国にとっては、5万人の在トルコウイグル人全員が犯罪者なのだから」 (c)AFP