【12月30日 AFP】中国のIT大手、騰訊控股(テンセント、Tencent)が、米プロバスケットボール(NBA)の新シーズンが開幕して以来、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ(Philadelphia 76ers)の試合を配信していない。

 これは、ヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)のゼネラルマネジャー(GM)時代に香港の民主化デモを支持し、中国で大きな反発を呼んだダリル・モリー(Daryl Morey)氏がシクサーズのバスケットボール部門のトップに就任したことへの抗議とみられる。

 騰訊は、昨季からロケッツ戦を放送しておらず、現在はシクサーズとロケッツの試合はテキスト速報を伝えるだけとなっている。

 中国でのNBAのテレビ独占放映権を持つ国営中国中央テレビ(CCTV)が、昨季に続いて22日に今季が開幕してからもNBAの試合を1回も放送していない中で、今度は騰訊がシクサーズ戦とロケッツ戦の配信を拒否し、リーグにとって数億ドルの価値がある最大の国外市場とNBAとの1年以上に及ぶ対立が続く形となっている。

 モリー氏は2019年10月、「自由のために戦おう。香港と共に立ち上がろう」とツイッター(Twitter)に投稿し、扇動的な分離主義者の言葉だと中国側の猛批判を浴びた。さらに、リーグ側がモリー氏の言論の自由を支持すると、中国中央テレビは「善意」で放送したNBAファイナルの第5戦を除き、昨季からNBAの試合を流さないという対応に出ている。

 騰訊はストリーミング配信を続けているが、シクサーズの試合は23日のワシントン・ウィザーズ(Washington Wizards)との開幕戦を含めたここまでの3試合とも、テキスト速報を伝えるだけとなっている。ロケッツは中国の英雄、姚明(Yao Ming、ヤオ・ミン)氏の元所属チームとして国内でも人気だが、こちらも映像は流れていない。

 今年11月にシクサーズのバスケットボール部門長に就任したモリー氏は、米スポーツチャンネルのESPNに対して前週、香港支持ツイートで自身のNBAでのキャリアは終わったかもしれないと一時は思ったが、今も「自分の行動には満足している」と話し、中国からのあれほど激しい反発は予想外だったと明かした。

 モリー氏は28日、ロケッツのスター選手ジェームズ・ハーデン(James Harden)を称賛するツイートを投稿し、NBAから罰金5万ドル(約518万円)を科された。そのハーデンは、シクサーズ移籍をほのめかす発言をしている。(c)AFP