【12月29日 AFP】(更新、写真追加)フランスのファッションデザイナー、ピエール・カルダン(Pierre Cardin)氏が29日、死去した。98歳。家族がAFPに明らかにした。

 カルダン氏は革新的なデザインを生み出し、またそれをプレタポルテ(既製服)として大衆化したことで一世を風靡(ふうび)した。

 家族によると、同氏はパリ西郊のヌイイ(Neuilly)の病院で亡くなった。

 カルダン氏は1922年、イタリア北部の貧しい家庭に生まれた。幼少期にフランスに移住し、工業地帯にあるサンテティンヌ(Saint Etienne)で育った。

 17歳でビシー(Vichy)の仕立屋の弟子になり、その頃から婦人用スーツを専門にするようになった。

 パリに移ったカルダン氏は、詩人で芸術家のジャン・コクトー(Jean Cocteau)が監督を務めた映画『美女と野獣(Beauty and the Beast)』のセットと衣装をデザインした。

 クリスチャン・ディオール(Christian Dior)で働いた後、1950年には自身のブランドを立ち上げた。

 パリの百貨店プランタン(Printemps)向けに既製服コレクションを提供して商業的にも新天地を切り開き、既存のファッション界に波紋を広げた。

 国際的に成長したブランドは日本で人気を博し、冷戦(Cold War)の最中だった1978年にソ連でも契約を結んだ。またフランスのデザイナーとしては初めて、1979年に中国にも進出し、基盤を固めた。同氏の家族は「早くからグローバル化の波に乗った」とたたえている。

 しかし、広く普及しフランチャイズ化も進んだカルダンブランドの人気は後年陰りを見せ、2011年にはブランド売却も試みたものの、買い手がつかず断念していた。(c)AFP