■「博物館に住んでいるよう」

 ダマスカス旧市街在住の実業家サミール・ガドバン(Sameer Ghadban)氏(50)は、19世紀の著名なアルジェリア人、エミール・アブデルカデル(Emir Abdelkader)がかつて住んでいた家に今も住んでいることを誇りにしている。アブデルカデルは、アルジェリアに対するフランスの植民地支配に抵抗してシリアに亡命し、この地で生涯を閉じた。1860年にダマスカスで宗教間の対立から暴動が起こった際には、数千人のキリスト教徒を救ったとされている。

「夫婦でこの家に住むようになって12年になる。エミール・アブデルカデルがまさに住んでいた場所に」とガドバン氏。前の住人たちに敬意を表すため、維持費がどれほど高くても、この建物の個性を細部に至るまでそのまま保とうとしていると話した。

 夏用の小さな居間は、二つある中庭の一つに面しており、部屋の壁一面にはイスラム教の聖典コーラン(Koran)の節の繊細な彫刻が施され、木製の天井は彩色されている。

「博物館に住んでいるようだ」とガドバン氏は言う。「ここに住んだら、普通の住居には絶対に住めない」 (c)AFP/Maher al-Mounes