【12月29日 AFP】インド政府の農業改革に反対する農民主導の抗議活動が続くパンジャブ(Punjab)州で、1600基以上の電波塔が破損されたと、当局が明らかにした。

 インドでは1か月以上にわたり、大勢の農民が首都ニューデリーに続く主要道路上で農業新法に対する抗議活動を行っている。

 農民の指導者らは、改革によって農業が国内のコングロマリット(複合企業)に乗っ取られると主張しており、今回破損された電波塔を所有する大手財閥リライアンスインダストリーズ(Reliance Industries)や新興財閥アダニ・グループ(Adani Group)などのボイコットを呼び掛けてきた。

 だが、農業組合の代表らはパンジャブ州での電波塔に対する破壊行為への関与を否定している。

 当局によると、電波塔への電力供給が遮断されたり、光ファイバーケーブルが切断されたりする他、発電機が盗まれた塔もあったという。

 リライアンスの通信会社ジオ(Jio)の関係筋によると、27日までに1400基以上の電波塔が破壊された。ある通信企業関係者によると、28日にはさらに少なくとも150基が被害を受けたという。パンジャブ州には計9000基の電波塔がある。

 アジアで最も裕福な実業家ムケシュ・アンバニ(Mukesh Ambani)氏が所有するリライアンスは、電波塔の被害についてコメントを出していない。しかし、パンジャブ州では、携帯電話サービスに影響が出ている。

 また、デモ参加者らはアダニ子会社フォーチュン(Fortune)がパンジャブ州アムリツァル(Amritsar)に所有する、同州最大規模の食用油の貯蔵施設の一つを封鎖している。

 新法により農家は、自らが生産した作物を市場で自由に販売できるようになった。政府は、インド経済の土台である農業を近代化し、農家の収入を増やすのに必要な改革だとしている。

 一方で、これまで多額の公的助成金を受け取ってきた農民らは、農業新法の撤回と、主要作物の最低価格の保証を要求している。

 農業組合代表らと政府は30日、新たな協議を行う予定。だがデモ参加者らは、話し合いで進展がなければ、抗議活動を強化すると述べている。(c)AFP