【1月1日 CNS】中国で半導体チップの供給が不足し、自動車、携帯電話、家電製品などの産業に大きな影響を与えている。半導体チップの工場で急速に増産することは難しく、供給不足は来年末まで続く可能性があるという。

 フォルクスワーゲン(Volkswagen Group)の中国合弁会社は中国メディアとのインタビューに「新型コロナウイルスの拡大により、自動車用電子部品の半導体チップの供給に影響を与えている」と述べた。中国の自動車市場が回復していることもあり、一部の生産がストップするリスクに直面している。

 携帯電話の半導体チップも不足し始めており、チップメーカーは受託製造工場の生産を拡大するため補助金を支出。台積電(TSMC)、サムスン(Samsung)、格芯(Global Foundries)、聯電(UMC)、中芯国際(SMIC)などの受託製造工場がフル稼働している。

 中芯国際の彭進(Peng Jin)副総裁は「半導体チップの供給が行き詰まっている最大の理由は、需要の伸びが予想をはるかに上回っていることだ」と説明。通信技術が格段に向上した第5世代移動通信システム(5G)の普及により、携帯電話や基地局の半導体チップの需要が大きく伸びた。また、インターネットと常時接続したコネクテッドカーやモノのインターネット(IoT)商品の生産も増え続けている。さらにコロナ禍により在宅勤務やオンライン小売りなどの「おうち経済」が浸透し、パソコンとサーバーの需要が増えたこともチップ不足を加速させている。

 半導体チップを製造に使うエンドユーザー企業が備蓄を確保していることも、供給不足の一因となっている。集微コンサルティング(Jiwei Consulting)の韓暁敏(Han Xiaomin)社長は「スマートフォン大手ファーウェイ(Huawei)が米国から半導体チップの供給を停止された後、他のスマホメーカーがチップの大量備蓄に走っている」と指摘。「供給不足解消はおそらく2021年末になる」とみている。

 ドイツの自動車部品メーカー・コンチネンタル(Continental AG)グループは「コロナ禍により世界的な売り上げが減少している中で中国の半導体需要が回復し、供給不足は2021年まで続く可能性がある」としている。(c)CNS/JCM/AFPBB News