【12月29日 Xinhua News】中国の科学者が中心となる国際研究チームがこのほど、月面クレーターの自動識別と年代測定で画期的な成果を挙げた。新たに11万個近いクレーターを識別し、うち1万8千個以上の地質年代を明らかにした。研究成果は22日、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

 月のクレーターは「月の化石」とも呼ばれる。その効果的な識別と年代推定は、月の地形や地質構造、地質年代を特定し、探査機の着陸地点を選定する上で極めて重要となる。月の探査が始まって以来、専門家らは目視や自動識別法によりクレーターのデータベースを構築してきたが、識別方法やデータ類型が異なることから、各データベースでクレーターの数や位置、大きさに違いが生じていた。また、不規則クレーターや劣化クレーターを自動識別法で検出することは難しいとされていた。

 吉林大学(Jilin University)地球科学学院の楊晨(Yang Chen)副教授率いる同研究チームは、「転移学習」と呼ばれる習得済みの知識を用いて別の問題を解決する機械学習法に基づき、識別済みクレーター7895個と年代特定済みクレーター1411個のデータを用いたディープニューラルネットワークモデルを構築した。

 研究チームは同モデルを用いて、嫦娥1号(Chang'e-1)と嫦娥2号(Chang'e-2)のデータからクレーターを順次検出。それらの地質年代を推定した。現在公認されているクレーターの十数倍に上る10万9956個を識別し、中・低緯度に分布する直径8キロ以上のクレーター1万8996個の地質年代を明らかにした。

 楊氏によると、これらの研究成果は、月試料の持ち帰りに成功した嫦娥5号(Chang'e-5)が月面に着陸した際にも着陸地点の小型クレーターの識別で活用された。同モデルの実用化は、今後の月と惑星の研究で重要な価値を持つという。

 今回の研究は、吉林大学と中国科学院国家天文台、イタリアのトレント大学、アイスランド大学のプロジェクトチームが共同で実施した。(c)Xinhua News/AFPBB News