【12月29日 AFP】日産自動車(Nissan Motor)前会長、カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告が保釈中に国外へ脱出し、世界で最も有名な逃亡者になってから1年。日本当局の大失態とその波紋はいまだにこの国を悩ませている。

 2019年12月29日、会社法違反などの罪に問われ裁判を控えていたゴーン容疑者は、監視カメラ下の自宅マンションを出て、2人の共犯者と新幹線で大阪に向かった。

 この2人の手助けで関西空港(Kansai Airport)の税関をすり抜けた。楽器のケースに隠れていたという報道もある。ゴーン被告はイスタンブールで飛行機を乗り換え、翌日レバノンの首都ベイルートに到着した。

 日本では不公正な裁判を受ける恐れがあるので逃亡した、とゴーン被告はベイルートの記者会見で主張。日本は対応に戸惑った上、レバノンに身柄引き渡しを要求したが、適応可能な2国間条約がないため拒否された。同被告は、フランス、レバノンおよびブラジルの国籍を所持している。

 国際手配されているゴーン被告はレバノンから身動きできないままだったが、事件関係者が各地で出廷している。

 日産の元代表取締役グレッグ・ケリー(Greg Kelly)被告の裁判が9月に始まった。同被告の容疑は、退職後のゴーン被告に支払われると約束された約92億円の日産からの報酬を違法に隠したというものだ。

 保釈中のケリー被告は、ゴーン被告と同様に無罪を主張しているが、有罪になると最長で10年の懲役刑を下される可能性がある。ゴーン被告の逃亡により、検察官が有罪確定のためさらに意気込むと見る向きもある。

「検察の主張が認められなければメンツが丸つぶれとなり、ベイルートの隠れ家からゴーンの歓声が上がるだろう」と東京の企業弁護士スティーブン・ギブンズ(Stephen Givens)氏は英字紙、日経アジアンレビュー(Nikkei Asian Review)に投稿した。