【12月29日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領の護衛隊員らが中国製の新型コロナウイルスワクチンの接種を受けたと、関係者らが28日、明らかにした。フィリピンでは、規制当局の承認を受けたコロナワクチンはまだないが、ワクチン接種の公式実施が初めて発表された形だ。

 大統領警護隊(PSG)は、隊員の一部がワクチンを接種したと発表。ただ何人が接種を受けたかは明かしていない。

 ドゥテルテ大統領も接種を受けたのかと問われた警護隊トップは、「大統領は完璧なワクチン、または適切なワクチン」を待っている状況だと答えた。

 ドゥテルテ大統領は先に、中国とロシアが開発したワクチンへの信頼を示し、ロシア製の「スプートニクV(Sputnik V)」の臨床試験で1人目の実験台になってもいいと話していた。

 大統領報道官は「ニュースは、わが国にワクチンが届いているということ。欧米のワクチンが入手できない場合は、友人であり隣人の中国が喜んでワクチンを供給してくれる」と述べ、「法律で禁止されているのは、未登録(のワクチン)の接種ではない。違法なのはその流通と販売だ」と説明した。

 中国では製薬大手「中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)」が開発するワクチンなど、4種類が臨床試験(治験)の最終段階にあり、複数の国で人を対象とした大規模な試験が進んでいる。

 しかし米製薬大手モデルナ(Moderna)やジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)が開発するワクチンとは異なり、中国製ワクチンの安全性や有効性に関する情報はほとんど公表されていない。(c)AFP