■気候変動

 世界が気候変動と闘っている中、地球温暖化がもたらす影響は、サヘル地域で5割ほど深刻だ。20世紀最後の25年で、同地域は、地球上最悪の干ばつに見舞われている。

 この現象は、過去60年間でチャド湖(Lake Chad)の湖面面積が驚くべきことに90パーセント縮小したことの一因である。同湖は、4か国の4000万人にとって真水の主要な供給源だが、その枯渇を防ぐための必死の努力が始まっている。

 17か国が昨年2月に、サヘル地域の気候変動対策のため2030年までに4000億ドル(約42兆円)を投資する計画を打ち出した。

■人口の重荷

 概して極めて貧しいサヘル地域は、人口増加率が世界最高レベルだ。

 G5サヘルの総人口は、国連(UN)によると、2050年までに2倍以上に増加して1億7000万人前後になる見通し。

 不安定な情勢、貧困、気候変動の中、国内強制移住が2年足らずの間に20倍に増加したと国連は言う。また、飢えに直面している世帯数は3倍になったと見積もられている。

 国連は昨年11月、ブルキナファソで飢饉(ききん)のリスクが高まったと警告。ナイジェリア北東部と南スーダンも同様だという。また、マリとニジェールでも飢えのリスクが高いとしている。

 さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行による経済的影響が問題を悪化させている。(c)AFP