■コロナの後押し

「スマホなしでは暮らせない」と語るメン・リー(Meng Li)さん(61)。成都での講習に参加し、モバイル決済の方法を学んだばかりだ。

「初めは通話しか知らなかった。でも娘がいろいろ教えてくれ、今日のような講習会にも出たので、今では扱える」

 政府は昨年11月に、高齢者のIT能力強化キャンペーンを提唱。地域社会ごとに講習を行い、開発者には高齢者に優しいアプリを制作することを促した。

 中国の武漢(Wuhan)市で新型コロナウイルスが発生してからは、これはより緊急の課題となった。都市封鎖が続き、消費者はこぞってオンライン購入と宅配に頼ったのだ。

 公式の統計によると昨年3月から6月までの間、3600万人以上が初めてインターネットに接続した。

 新型コロナ禍を切り抜けるにはデジタル知識が必須だ。中国では公共交通機関など多くの場で、移動歴など最近の自身の動向に基づき新型コロナの危険レベルが計測される健康アプリの提示が求められる。

 また、現在実施中の10年ぶりの国勢調査で、初めてオンラインでの回答も奨励されている。それでも、中国の14億の国民の3分の1はネットにつながっていない。

 こんな中、リーさんと講習仲間はデジタルの世界に飛び込んだ。

 講習後、市場でモバイル決済を使い、激辛の四川料理に欠かせない唐辛子を買った。外食の際はレストランのクチコミを調べ、地図アプリを使ってそこへ行く。

「まだ学ぶことがたくさんある。携帯の写真を使いこなすのがこれから10年の目標だ」と、老眼鏡のリーさんは自分の計画を語った。(c) AFP/Helen Roxburgh with Qian Ye