「ローマ時代のファストフード店」発掘、状態良好 ポンペイ遺跡
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【12月27日 AFP】イタリアの古代ローマ都市ポンペイ(Pompeii)で、フレスコ画が描かれた「テルモポリウム」が非常に優れた保存状態で発見された。テルモポリウムは、現代のファストフードカウンターのようなものだという。考古学者らが26日、明らかにした。
多色の柄で華麗に装飾されたカウンターは、昨年一部が発掘され、その全貌を明らかにするため発掘が続けられていた。
作業の最終段階では、ワインや温かい飲み物と一緒に提供するマガモやおんどりなど、食事メニューにあったとみられる動物の描写を含む静物画が複数発見された。
他にも、陶器鍋の中からは、カモの骨の破片や、ブタ、ヤギ、魚、カタツムリの死骸を発見。スペイン料理のパエリアのように、いくつかの食材が一緒に調理されていたものもあった。
ポンペイ考古学公園(Archaeological Park of Pompeii)のマッシモ・オザンナ(Massimo Osanna)事務局長は、「ポンペイの日常生活が生き生きと分かるだけでなく、一つの場所の全体を発掘したのは今回が初めてであるため、このテルモポリウムによって可能になる分析の可能性は他に例がないほど優れている」と述べた。
50歳ぐらいとみられる男性の遺骨なども発掘された。
オザンナ氏は伊通信社ANSAに対し、「店は急いで閉鎖され、所有者らが放棄したとみられるが、おそらく最高齢の男性か誰かが中にとどまり、最初の噴火で死亡した可能性もある」と説明している。
ポンペイは西暦79年、噴火したベズビオ火山(Mount Vesuvius)の火山灰に埋もれて消滅した。この噴火で、2000~1万5000人が死亡した。
ギリシャ語で「温かい」を意味する「thermos」と「売る」を意味する「poleo」を語源とするテルモポリウムは、古代ローマ世界で人気が高く、ポンペイだけでも80店ほどあった。(c)AFP/Gaël BRANCHEREAU