【12月25日 AFP】インド中央捜査局(CBI)特別法廷は22日、南部ケララ(Kerala)州にあるローマ・カトリック教会の神父と修道女に対し、約30年前に不適切な関係の露見を恐れて同僚の修道女をおので殺害したとして、殺人罪で有罪判決を下した。

 事件の発端は1992年、ケララ州コタヤム(Kottayam)のピオ10世修道院(Pious X Convent)に所属していたシスター・アバヤ(Sister Abhaya、当時18)が、敷地内にある井戸の中から遺体で見つかったことだった。

 地元警察は当初、自殺と断定。しかし、捜査に不審な点があるとして連邦当局が再捜査を行い、殺人事件だったことが明るみに出た。

 検察によると、神父のトーマス・コットゥール(Father Thomas Kottoor)被告と修道女のシスター・セフィ(Sister Sephy)被告は、修道院の厨房(ちゅうぼう)でもう一人の神父と3人で「不道徳な体勢」をとっているところをシスター・アバヤに目撃された。事が露見するのを恐れた被告らは、おのでシスター・アバヤを殺害し、遺体を井戸に投げ入れたとされる。

 もう一人の神父は、証拠不十分で2018年に起訴取り下げとなっている。

 ケララ州のカトリック教会では近年、レイプ疑惑や修道女の虐待事件、神父が子どもをもうけたなどのスキャンダルが相次いでおり、こうした事件の捜査に教会が介入していると非難されている。

 シスター・アバヤの事件も、過去3回にわたる捜査で殺人と断定できないとされたり、犯人を特定できないとされたりしたが、いずれも裁判で却下された。被告2人が逮捕されたのは、2008年のことだった。中央捜査局の検察官はAFPに対し、「遅くなったが、正義がなされた」と語った。(c)AFP