【12月25日 AFP】英国南東部の旧マンストン空港(Manston Airport)で24日、トラック数千台が足止めされたままクリスマスイブを迎えた。中には運転席を小さなクリスマスツリーや色紙の輪でできた鎖で飾ったトラックもあるが、祝祭ムードはほとんどない。

 英国での新型コロナウイルス変異種の感染拡大を受け、フランスが英国からの入国を禁止したため、英南部のドーバー(Dover)港付近ではトラック数千台が何日間も立ち往生している。

 トラックを出国させるため、兵士らがトラックを1台ずつ回り、約40分で結果が出る簡易迅速検査を行った。

 ポーランドから来たトラックの運転手で、検査を受けたばかりのパべウさん(34)は、42キロ離れたフォークストン(Folkestone)へ行き、英仏海峡トンネル(Channel Tunnel)を通って家族の元へ帰る予定だと話した。

 ラムズゲート(Ramsgate)郊外にある旧マンストン空港に3日間足止めされていることについてパべウさんは、「どうしようもない」とAFPに語った。

「ここにいる気持ちは何とも言いようがない。家族のみんなが私たちを待っている。胸が張り裂けそうだ」とパべウさんは述べた。

 パべウさんによると、新型ウイルス変異種の発生を受けて国境を閉鎖したフランスに対し、運転手らは激怒しているという。

 パべウさんは仕返しとして、帰り道にフランスで一切休憩を取らず、食料調達も給油もしないつもりだ。「ここにいる人の90%は、フランスで休憩しないだろう」

 軍によると、24日昼時点で、旧マンストン空港にはまだトラック3200台が残っており、少なくとも1800人の運転手が検査を受けた。

 旧マンストン空港とドーバー港、そして、より多くのトラックが待機している高速道路M20では、兵士320人が検査に当たっている。(c)AFP/Anna MALPAS