【12月27日 東方新報】2020年の中国の世相を代表する「今年の漢字」は「民」が選ばれた。中国国家語言資源観測・研究センターや、商務印書館、新浪網(Sina)などが主催した「中国語点検2020」活動が21日に発表した。同時に2020年の国際社会の世相を代表する漢字は「疫」が選ばれた。インターネットのユーザーの推薦を受け、専門家チームが決定したという。

「民」は「国民」「人民」「民衆」とも解釈することができる。2020年は新型コロナウイルスとの闘いで、すべての国民が一丸となって困難を乗り越えたことが印象に残ったこと理由だという。また、習近平(Xi Jinping)政権が「人民至上」との理念を掲げ、「脱貧困」という人類社会の長年の目標が2020年に中国で実現されたことも象徴的な出来事だった。さらに、2020年は民法に関する法整備が全国人民代表大会で進められ、各分野をまとめて体系化した中国初の民法典が制定されたことも大きな話題となった。

 毎年の年末に漢字を一文字だけ選び、一年の世相を表す「今年の漢字」活動は、日本漢字能力検定協会などが1995年から始めた漢字を普及するキャンペーンの一環だったが、メディアに大きく取り上げられたため、ほかに漢字を使う周辺国や地域にも影響を与え、中国では2006年から「中国語点検」活動を開始した。

 中国では「今年の漢字」は国内部門と国際部門に分かれており、2020年の国際部門の「疫」という字は、世界を席巻した新型コロナウイルスが各国に与えた深刻な影響を表している。

 台湾とマレーシアの「今年は漢字」は中国の国際部門と同じく「疫」で、シンガポールでは「マスク」の中国語を表す言葉「罩」だった。一方、日本は、コロナウイルス感染症予防のため「密閉、密集、密接」の3密を控えるようにと自治体に呼びかけられたことから「密」が選ばれた。

 ちなみに中国では2019年の漢字は安定平穏を象徴する「穏」で、2018年は鳥が羽ばたくや努力するという「奮」が選ばれた。「毒」「偽」「災」なども登場する日本の「今年の漢字」と比べて、中国は前向きのイメージを持つ漢字が選ばれることが多い。(c)東方新報/AFPBB News