【12月26日 東方新報】国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は17日、中国が申請した「太極拳」と沿岸部の民間儀式「送王船」(マレーシアと共同申請)を無形文化遺産に登録した。中国の無形文化遺産はこれで42件を数え、登録数は世界一を誇る。なぜ中国の無形文化遺産はこれほど多いのか?

 無形文化遺産とは「慣習、描写、表現、知識および技術ならびにそれらに関連する器具、物品、加工品および文化的空間であって、社会、集団および場合によっては個人が自己の文化遺産の一部として認めるもの」と定義され、2003年に無形文化遺産保護条約がユネスコ総会で採択された。

 中国の登録リストを見ると、まずは「歴史の長さ」が強みだ。3000年以上の歴史がある古琴、2000年以上前に始まった端午の節句のほか、篆刻(てんこく)技術、中国書道、季節の移り変わりを表す二十四節気など、長い年月を経て今も社会に根付いている文化が多い。

 さらに「知名度」。京劇や青磁の伝統焼成技術、絹織物、鍼灸(しんきゅう)術など国内外に知られている伝統が多い。今回の太極拳も世界各国で習得している愛好家は多い。

 また、実は「他民族文化の登録」が多い。新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の大曲(ムカム)、モンゴル民族の長歌(オルティンドー)、チベット医学の薬湯、フイ族の口承民謡など少数民族の文化・芸術が15件登録され、中国の無形文化遺産の3の1以上を占めている。中国の少数民族は人口比では8%にすぎないが合計人口は1億人を超えており、各民族が代々伝えてきた無形文化遺産が評価されている。

 登録ラッシュの背景には、中国政府の後押しもある。中国は2004年に無形文化遺産保護条約の締約国になって以降、無形文化遺産の調査・保護に力を入れてきた。2005年には「第1回全国無形文化遺産調査」を実施。国、省・自治区、市町村それぞれのレベルで無形文化遺産リストを作成し、伝承人認定制度も設けている。毎年6月8日を「文化・自然遺産デー」とし、各地で無形文化遺産の展示や実演、フォーラムなどの活動を行っている。無形文化遺産は伝承者の減少や文化の普及の難しさといった問題が常につきまとうが、中国はユネスコが求める「条約義務の履行」を果たしている「優等生」といえる。

 多民族国家の中国では「中華民族」という言葉がよく使われる。漢族など特定の民族の枠を超え、同じ国民という意識、団結心、絆を広めるための概念だ。新しく無形文化遺産が登録されるたびに「中華民族の文化がまた世界に認知された」と宣伝されている。中国において無形文化遺産は国民の一体感を広める役割も果たしている。(c)東方新報/AFPBB News