【1月10日 AFP】体操女子の元ハンガリー代表で、存命中では世界最高齢の五輪金メダリストであるアグネス・ケレチ(Agnes Keleti)さんが、9日に100歳の誕生日を迎えた。いまも健在のケレチさんは、昨年11月にAFPの取材に応じ、「元気だけど、鏡は見ないようにするのが秘訣(ひけつ)! それで若くいられる!」と語った。

 通算5度の五輪金メダル獲得を果たすなどハンガリーで最も成功した体操選手のケレチさんは、ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)を生き延び、史上最高のユダヤ人アスリートの一人として知られる。現在は認知症のため短期記憶に影響が出ているが、持ち前のはつらつとした精神は全く変わらない。

 人生の思い出の品や五輪メダルが飾られている自宅を活発に動き回りながら、開脚はやらせないでと冗談を飛ばすケレチさん。100歳の誕生日を記念して出版される自伝をめくりながら、「この年齢ではやらない方がいいと介護士に言われている」と笑った。

 ケレチさんの生涯は、五輪での栄光からホロコースト脱出と、まるでハリウッド(Hollywood)映画の脚本のようだ。

 1921年に生まれ、五輪では1952年のフィンランド・ヘルシンキ大会と1956年の豪メルボルン大会で計10個のメダルを獲得。そのほとんどを30歳を過ぎて自分より半分も若い選手を相手に手に入れた。