歴史あるドイツ木造教会を移設、地域ぐるみで保存目指す
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【1月9日 AFP】ドイツ中部の町、シュティーゲ(Stiege)で、森の中にある絵のような教会を保存するために建物を町の中心に移設するという難しい取り組みがなされている。
移設計画を進めているのは地域の人々だ。そのうちの一人、ハンス・ポワラ(Hans Powalla)さん(74)にあなたは信者なのですかと質問すると、即座に「いいえ」と答えが返ってきた。
元電気技師のポワラさんは、住民らを駆り立てているのは、その独特な建築様式と「教会がこの地域にもたらす意味」だと語った。
移設されるのは、スターブ(板張り)の教会だ。北欧の教会を想起させる木造建築で屋根には竜の装飾が施されている。1905年に建てられた。
現存する同様の教会はドイツには他に2か所しかなく、この教会は国の重要な文化財とされている。シュティーゲが位置するハルツ(Harz)山地には、国内最大のスターブ教会もあり、両方の教会を見学できる観光ルートを作るという案もある。
もともとこの教会は、森の中に設けられたサナトリウムで療養する肺病患者のための私設礼拝堂だった。しかし、サナトリウムは閉鎖され、教会も2009年頃には使われなくなっていた。そして、人目につかない場所にあることで、破壊行為にさらされた。
2013年には、サナトリウムの古い建物で火事が起きた。教会は被害を免れたが管理団体「シュティーゲ・スターブチャーチ協会(Stiege Stave Church Association)」では、教会を保護するには移設が不可欠との結論に至った。
計画を実行に移すには数多くの問題を解決する必要があった。建物移動許可の取得、新たな移動先の確保、そして移動手段の手配といった問題だ。一時は、ドイツ連邦軍のヘリコプターで建物全体をつり上げるという案も検討された。
地元オーバーハルツアムブロッケン(Oberharz am Brocken)のロナルド・フィーベルコーン(Ronald Fiebelkorn)首長は協会メンバーの熱意に動かされ、プロジェクトの支援について州および連邦当局に掛け合った。